【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第18章 最終章
病弱だと言われていた皇弟が盛大な婚姻式を挙げた。
その噂が国中に広がるのにたいして時間はかからなかった。
国中がこの喜ばしい知らせに湧き立つも、やはり黒い影が見え隠れし始める。
「全く……新婚生活くらいゆっくりさせてくれてもいいのに…。」
最近の壬氏は寝所から出るのが1番の苦手だ。
「……貴方の側室に入れたいと言う家紋がどんどん増えてくるわよ。」
「こんな仲睦まじい新婚夫婦に他の女人を当てがおうなんて、頭が湧いているとしか言えないな。」
壬氏と月娘の新生活に干渉しようとする宦官達は多かった。
少し気を緩めば、侍女ですら誰の懐の者かも分からない。
しかし、そんな事は想定内で、それよりも壬氏は月娘に伝えないといけない事があった。
「……鄭・夏潤の事だが…。」
少し低い声で壬氏は月娘に話し出した。
夏潤の名前に月娘はゴソッと寝具から顔を出して壬氏を見た。
月娘のすぐ横には昨夜からずっと一緒に寝台に居る壬氏がいる。
…相変わらず、どんなに激しい夜を過ごしてもこの男は美しい。