【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第16章 【R18】毒の華は華麗に咲く
「…いいですよ。貴方が離してくれと言っても、私は離しません。」
「それは良かった。俺も同じ気持ちだ。」
壬氏はニッコリ笑って月娘にキスをした。
月娘の腕が首に絡まると、西棟に猫猫達を待たせている事は頭に過った。
だけど、月娘からのキスを受けない選択は無い。
壬氏がもう一度覆いかぶさりそうになり、彼の体を引き離したのは月娘の方だった。
「…喬薫を呼んでください。」
少し赤い顔のまま月娘は壬氏に言った。
「……………。」
不満げだったが、確かにまだ自分たちは話し合う事があった。
今日ばかりは壬氏は月娘の言葉に素直に従った。
「月娘。婚姻の日取りはもう決まっている。」
壬氏はこの1か月の間にすでに決めていた。
壬氏の言葉に月娘はニッコリと笑った。
壬氏は月娘に手を伸ばした。
月娘の手が壬氏の手に触れる。
もう2度と臆さない。
万が一また皇太子の身分になっても、今度は月娘を自分の側に置く。
その先が皇帝だとしても。
隣にいる月娘が皇后になるだけだ。
壬氏は月娘の手を握りながら、強く心を決めた。