【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第16章 【R18】毒の華は華麗に咲く
ずっとこの男が好きだった。
物心が付いて、彼を皇太子だと認識しても。
彼の側に居る為だけに生きてきた。
月娘は壬氏が何者でも構わなかった。
皇太子だろうが。皇弟だろうが。
熱い吐息を吐きながら、お互いにしっかりと抱き合った。
壬氏の放った体液が体の中で一瞬熱く感じたが、すぐに抱かれている腕の方が熱く感じた。
「… 月娘。この婚姻が進んだらもう元には戻れないぞ。」
グッと月娘を抱き寄せて壬氏は真剣な顔で月娘に言った。
その壬氏を見て、月娘は笑った。
「……殿下こそ…。もう私から逃げる事は出来ませんよ。」
壬氏の言葉に挑発的な顔で答える月娘に、壬氏もまた顔が緩んだ。
「ああ…。だけどこれだけは誓うよ。皇室内で今よりも月娘の立場が悪くなっても。
俺の妃は生涯月娘だけだ。
今生の俺の愛を全て月娘に捧げよう。」
壬氏の言葉に今度は少し月娘の目元が柔らかくなった。