【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第16章 【R18】毒の華は華麗に咲く
「……少しは私の気持ちを分かってくれた?」
月娘の頬を手で撫でながら壬氏に聞いた。
「……ああ…。本当に俺は月娘に酷い事をしてきた。」
後宮に入る際は月娘が会いたいと泣いても会いに行かなかった。
月娘の純潔を奪った時ですら、彼女は分かってくれると婚姻をずっと先延ばししていた。
なのに壬氏はたった1ヶ月会えなかっただけで我慢が出来ない。
沢山の怒りと憎しみがあったはずなのに。
今こうして彼に縋り付かれたらその感情が全て愛しさに変わってしまった。
「……瑞…。病み上がりなの…。」
壬氏を受け入れる事を決めた月娘が、顔を赤らめながら壬氏に言った。
「優しくして…。」
壬氏は月娘のその言葉にニッコリ笑った。
彼とてまた月娘に病まれて会えなくなるのは困るのだ。
「月娘が馬鹿な事をもう言わないなら。」
他の家に嫁ぐなんて壬氏を挑発しないなら。
喜んで大切に扱うと誓える。