【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第16章 【R18】毒の華は華麗に咲く
壬氏が本当に焦っているのは高順も僑香も分かっていた。
なにしろ…。
猫猫に簪を贈っただけで花街騒ぎを起こしたのだ。
今度は月娘がやらかすのか。
その場に居た全員が息を呑んで月娘の行動に注視した。
「月娘謝る!今度は謝る!」
(早っ。)
今度はすぐに謝る壬氏を見て、高順と僑香は壬氏も学習するのだと分かった。
壬氏は叫んで必死に月娘を抱きしめる。
……人払いをして良かった…。
こんな壬氏誰にも見せられない。
2人には見慣れた光景を見て軽くため息を吐いた。
「…月娘、しばらく会えなくて本当に心配したんだ。」
「………………。」
「月娘。お願いだから何か喋って。」
壬氏が必死に月娘に乞うても、月娘は眉毛1つ動かさなかった。
「月娘様!!用意してきました!!」
「あら、じゃあ行きましょうか。」
ズバンッと執務室の扉が開かれて猫猫が戻ってきた。
月娘は壬氏からスッと離れて猫猫に笑みを浮かべた。