【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第15章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑥
あんなに苦しんで悩んでいたのに、この腕に抱かれたらなんでも出来そうな気がした。
「はぁ…瑞…。本当に私を皇室に入れてくれる?」
「ずっと月娘以外誰も入れないと言ってる。」
なら何故今こんなに涙が出るのだろう。
本当は全部怖い。
壬氏を信じて待っていて、いつか月娘の悪評に壬氏の気持ちが変わったらどうしよう。
後宮には裕福な家の娘が妃達の侍女になっている。
そんな女人に囲われて、その心が移り変わったら。
全部全て不安なんだ。
「ああ…瑞……。お願い。私だけしか見ないで…。」
それが得られるなら、この体ごと壬氏のモノになっていい。
「月娘、初めから俺は月娘しか見ていない。」
月娘が必死に腕を巻き付けてくるから。
壬氏はやっと月娘の体に顔を埋めた。
上等な伽羅の良い匂い。
服を脱がしても、月娘の体から甘いがする。
その匂いは心地よく壬氏を酔わしてくれた。