• テキストサイズ

【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第14章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑤


月娘はその下女を見つけると、その髪を鷲掴みしてそのまま引きずって下女を池に投げ込んだ。

そんな騒動を止めようと、壬氏は現場に走った。



その時に壬氏が見たのは、溺れている下女をさらに溺れせようとしている月娘の姿だった。

壬氏はその月娘の姿を見て、すぐに月娘に駆け寄った。



そして溺れている下女なんて見る事も無く、月娘の手を握った。

下女を叩いて、髪を鷲掴みした月娘の手は赤く腫れていた。

その手を壬氏は大切に自分の両手で包んだ。



「月娘。お前はこんな事をしなくていい。お前の体に傷が付くのは俺が許せない。」



そう言って月娘の手に唇を落とす壬氏を見つめる月娘の顔は、見た事も無いほど無表情だった。

そして何の感情も表さず、月娘は壬氏の手を払った。

「……『壬氏』。下女が溺れ死ぬわよ。」



壬氏は月娘の言葉を聞いて、初めて下女が池に沈んでいる事に気がついた。

壬氏の指示を受けなくても、他の官僚がその下女を助けた。

月娘はまたその光景にすら、眉1つ動かさない。
/ 408ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp