第14章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑤

「……月娘様。殿下のお気持ちは、今月娘様が考えている様な意味ではありません。」

「……………。」

高順の諭すような声にも、月娘は顔を上げなかった。




「殿下はただ…。月娘様お一人がお妃様になられる事を望んでいます。」



高順の言葉を聞いて、月娘は自分の着物をぎゅっと握った。



ー分かってる。

壬氏がどんな気持ちで月娘に向かい合ってくれているか。

自分が1番良く知っている。



「……私は待てません…。今瑞のお嫁さんになれなければ、きっとこの先後宮に入る事は出来ない……。」



だけどもう待てないのだ。

月娘は誰でもなく、枋太師がそれを望んで無いと知っていた。



彼は月娘の噂を信じていた。

月娘が壬氏の妃になりたい為に悪行を続けるなら、家長としてその行いを正すべきだと考えていた。



夏潤だけでは無い。

今、枋家で月娘が後宮に入る事を望んでいるのは、月娘1人だった。



そして後宮入りは、枋太師の後ろ盾がなければ決して叶わない。