【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第14章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑤
「……今…。今じゃなきゃダメなんです。私は瑞に他の妃が入る事などとっくに覚悟が出来てます。」
月娘は顔を覆っている壬氏の腕を掴んだ。
「!!!」
壬氏はそんな月娘の手を払った。
壬氏と出会ってから、彼が月娘の手を払ったのは初めての事だった。
壬氏が自分にそんな行為をするとは思わなくて、月娘は一瞬固まった。
(…そんな覚悟を決まる位なら、何で今俺と一緒に苦しんでくれないんだ。)
壬氏は月娘の覚悟が自分とは全然違う事に気が付いた。
きっと今の月娘に何を言っても平行線だろう。
「…月娘…。これは決定事項だ。これ以上言うなら今すぐに月娘との婚約さえ破棄する。」
「!!!」
「……瑞…。本気で言っているの?」
月娘は信じられないと言う顔で壬氏を見た。
しかしやはり壬氏の顔を確認する事は出来なかった。
「近々皇室から婚姻の延期の冊封が届く。」
月娘の言葉に壬氏はそれだけ伝えた。