【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「…… 月娘はよく、人形遊びをしているとお姫様になるんだ…。」
月娘の人形は綺麗な飾りを付けて、その姿はまるで皇后の様で。
壬氏はそんな人形の王子様役をしていた。
「皇太子の正妃になったら、月娘は喜ぶ?」
「絶対に喜びますよ。」
そう言われて、壬氏はやっと顔が明るくなった。
もし、今少しの我慢をして、月娘が自分の妻になってくれるなら、そんなに嬉しい事は無い。
壬氏はもう月娘が好きだった。
大切な月娘を取られない様に壬氏は考えた。
今やる事は、月娘が将来自分の側に居てくれる様にする事。
それだけだ。
「最近、後宮に呼ばれないな。月娘。」
月娘の房で、僑香(きょうこう)と何やら紙を睨めっこしている月娘に夏潤(ハユン)は声を掛けた。
「呼ばれてるよー。今も先生に出された宿題をやっているのだも。」
詩を書いて、出来たら提出しろと言われている。
いつの間にか月娘は皇室で侍女見習いとして学び事をする様になっていた。