【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「私は月娘。あなたは?」
「…俺は瑞月…。」
「瑞月……瑞って呼んでいい?」
月娘が側に来てくれてからの壬氏は、さっきまであった不安が無くなった。
月娘は色んな話をしてくれた。
壬氏が上手く喋らなくても、壬氏の言葉を最後まで聞いてくれた。
壬氏はそんな事が嬉しくて月娘と沢山話をした。
それは壬氏にとって初めての経験だった。
同じ歳の子供と交流しても、壬氏はここまで心が弾まなかったし、声も出なかった。
だけど月娘だったら、もっと話したい気持ちと。
このままずっと月娘と喋っていたい気持ちが湧き上がって。
時間も忘れて月娘との時間を楽しんだ。
「月娘!!」
先に名前を呼ばれたのは月娘だった。
2人がその声の方向を見ると、枋太師だけでは無く高順の姿をあった。
高順の姿を見ると、壬氏は再び不快な気持ちを思い出した。
「ねぇ、掛けは私の勝ちかしら?」
「……俺は降りない……。」
「……えー……。」