【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第9章 花街に毒の花が咲く⑤
「動くなよ月娘。無駄に傷付きたく無いだろう。」
夏潤はそう言って棍棒を手に取った。
それが何を意味するのか、月娘はよく分かっていた。
夏潤が棍棒を振り上げると、月娘の尻に激痛が走った。
「ああ!!!」
大きな音を立てて、夏潤は月娘の尻を棍棒で叩いた。
棍棒で尻を叩くのは拷問でも良くある手法だ。
拷問の場合、罪人は殴られ続けて、血が出ても肉が避けて骨が出ても、延々と続けられる。
勿論、そこまでの力を夏潤は月娘には入れていない。
だけど、その体罰を受けた後は、しばらく歩く事も座る事も出来なくなる。
無様にあの寝台に寝そべる日々が続くのだ。
何度も月娘の身体に棍棒が当たる音が部屋に響いた。
勿論月娘の叫び声も。
涙を流して痛みに耐えても、頭は早くこの苦痛から逃げる事しか考えない。
「… 月娘…いつもの様に俺に懇願してみろよ…。」
意識を失う事も出来ずに、痛みに耐える月娘に夏潤の声がした。