【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
皇帝の弟である『華瑞月』は
本名を呼ぶことを許されない身分の人間からは「月の君」「夜の君」と呼ばれている。
平時は病弱ということで政などの表舞台に立たない。
やむなく公の場に出る際は素顔を隠しているため、彼の素性を知る人物はごく限られている。
そんな華瑞月を名前で呼び、幼少時代を共に過ごした1人の少女が居た。
少女は皇帝の側近である太師の1人娘。
名前を枋月娘といった。
月娘は、瑞月に皇位を継承して貰いたい皇帝から、唯一瑞月の伴侶として選ばれた少女だった。
未来は茘の后妃となる為、瑞月の為だけに育てられた少女。
誰もが月娘と瑞月は14の時に正式に夫婦になるものだと思っていた。
しかし、それより早く13の時に、瑞月は宦官となり後宮入りしたのだった。
自分の身分を隠している瑞月の為、月娘との婚姻はそれ以降進む事は無かった。
もちろん壬氏としてでは無く、華瑞月として月娘と夫婦となる事も出来ていた。
しかし瑞月はそれをしなかった。