【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
部屋に入ってきた僑香は瞬間に察した。
壬氏の自分への目線を。
(あ…私お邪魔なのね……スン)
朝の光を浴びて、更にキラキラ輝いている2人を見ながら僑香は真顔になった。
「…私より先に瑞月様のお支度を手伝って。(訳:これ以上瑞が暴走しない様に手を打って。)」
「俺はいいから、月娘の支度をしてあげてくれ。」
「…………………。」
折れないのね。瑞。
月娘の意図をしっかりと分かっていながらも、壬氏は月娘の側にピッタリとくっ付いて、離れる素振りを一切見せない。
(……やりづらい……。)
月娘の身体にしっかり腕を回している壬氏を見て、僑香は無表情で心で呟いた。
「…まずは…お身体を洗いましょう。」
「それは俺が出来る。」
パァッと壬氏の顔が明るくなって月娘の顔が暗くなった。
「ご用意してきます…。」
無表情の月娘の顔に、一生懸命にキスをする壬氏を放っておいて、僑香は湯浴みの支度をする。
「……瑞……。あまり人が見ている所でこういうのは……。」
「月娘の侍女に見られても、なんの支障も無いだろう。」