【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第7章 【R指定】花街に毒の花が咲く③
ただ気になるのは、婚姻を伸ばしてから変わった月娘は間違いなく壬氏を憎んでいた。
いつからか、好きな男を見る目の中に、そんな怒りを月娘から感じていた。
そんな月娘が今更許してくれるだろうか。
婚姻を伸ばしただけでは決してあそこまで憎まれなかっただろう。
壬氏が知らない月娘がまだ居るはずだ。
その気持ちを受け止める覚悟は出来たから。
早く月娘から、赦しの声が聞きたい。
「……あの時……、初めて私達が夜伽をした時の約束を覚えていますか?」
それよりもっと昔、まだ仲が頃からの約束。
壬氏は月娘の声が聞こえると、一瞬目を開けてもう一度月娘を抱き締めた。
「…忘れる訳がない…。」
壬氏の言葉が聞こえると、月娘の身体からゆっくりと力が抜けていく。
やっとこの人に全てを預けられると心からそう思った。
「私の気持ちはあの時から変わっていません。今でも瑞月様だけが私の今生の相手です。」
月娘の言葉にたまらずに、壬氏はキスをした。
本当はまだ聞かなければならない事が沢山あるのに、ずっと溜め込んでいた気持ちが溢れる感覚に抗えなかった。