【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
頼むから、少しだけ待っていてくれと。
そう縋っても結局は思い通りにならなかった。
「…月娘、俺はお前をー。」
壬氏の声に、少しだけ月娘の腕が反応した。
「皇室に迎える。」
壬氏の言葉に月娘は顔を隠した袖の中で目を見開いた。
「………………。」
壬氏が皇室に迎えると言っても、月娘は声を上げなかった。
しばらく、2人の間に沈黙が流れた。
そして、この月娘の反応は、壬氏の思った通りだった。
「…どうした?嬉しくないのか?」
「………………。」
月娘は何かを考える様に袖の中の手を握った。
「………何故ですか?殿下。」
「何故?」
一向に袖から顔を出さない月娘に、壬氏は次第に苛々してきた。
「!!!??」
グイッと腕を掴まれて、月娘はやっとその顔を壬氏の前に見せた。
その月娘の表情を見て、壬氏はハッと笑った。
思った通り、月娘は自分との婚姻を望んでこんな事をした訳じゃ無かった。