【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
「…高順…、月娘は本当に自分が何をしようとしているか分かって無いのか?」
「…………………。」
花街に向かう馬車の中で、壬氏は青い顔をしながら高順に聞いた。
「そんな訳ないじゃ無いですか。」
高順が答えると、壬氏の眉間に更に皺がよる。
「……皇室の馬車では無く、貴方は顔を隠し、身なりも隠し、皇室のモノを何も持たないで…。」
顔を隠すのは良いだろう。
壬氏の顔が世間に目立つのは良くない。
しかし髪は結っていても、皇弟とも壬氏とも言えない身なり。
あからさまにやり過ごす気でいるのが良くわかる。
「月娘様に門前払いされるのがオチです。」
ハッキリと言う高順に壬氏が顔を上げた。
「月娘様が何を望んでいるのか、本当に分からないのですか?それとも分からないフリですか?」
「……………。」
分かっていたから壬氏は何も言えなかった。
月娘は壬氏が無難に解決してくれる事を望んでいる訳じゃ無い。
「……俺にどうしろと言うんだよ…。」
壬氏はため息を吐いて頭を抱えた。