第2章 人形の家
その時だった。
典子さんの後ろにある棚が傾き、彼女目掛けて倒れた。
「典子さん!!」
「おねえちゃーん!!」
ーーーーーーーーーーーー
「今回はホントに霊がいそう……」
「うん……」
あたし達は少し青ざめながら呟く。
「おまえ、まーた失敗しやがったな」
「わーるかったわね!どーっせ、アタシは無能ですよ!」
まさか火が吹き出したり、ポルターガイストは起きたり本棚が倒れたりするなんて思ってもいなかった。
幸い典子さんは怪我することなかったが、もし本棚の下敷きなっていたらと思うとゾッとしてしまう。
「こわかったら帰ってもいいぞ」
「こわかないやい!」
「こ、こわくない!」
麻衣と一緒に言うが、若干声が震えていた。
こわくないと言い張ったのはいいが、やはり少しだけ怖い。
「それにしても、さっきのあれ、あの子のさけびにこたえるみたいだったな。結衣と麻衣も台所で子どもの影みたっていうし」
「礼美ちゃんが犯人だと?」
「暗示実験じゃ、犯人は人間じゃないんだったっけな。結果にどんくらい自信があるよ?」
「100%」
「暗示に失敗した可能性は?」
「ありえない」
「ぜったいっていっ……」
絶対って言いきれない。
ぼーさんがそう言いかけた時、その言葉をリンさんが遮った。
「ナル、温度が下がりはじめました」
「リン、スピーカー」
温度が下がり始めたのは礼美ちゃんの部屋。
しかも礼美ちゃんの部屋からは誰かが叩いているような、歩いているような、ガタガタドンドンと音が響いている。
「礼美ちゃんの部屋だれもいないのに……!」
「すごい物音……」
「すごい」
横でナルが関心したかのような声を出した。
「……なに?」
「温度だ。すごい勢いで下がっていく……ほとんど氷点下だ」
氷点下。
つまり、それは犯人が人間じゃないといっているようなもの。
「……礼美ちゃんではありえない。ぜったいに人間のしわざじゃない……!」
ー翌朝ー
あたしと麻衣は典子さんのお部屋にお邪魔していた。
礼美ちゃんと遊ぼうという話になったが、昨夜から礼美ちゃんはとても大人しい。
「……礼美ちゃんっておとなしいなあ」
「このぐらいの子って、もう少し活発だったりしますよね」