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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第9章 忘れられた子どもたち


ナルの言葉にあたし達は固まる。
それから麻衣と揃って叫んでしまった。


「「えーーーーっっ!!?」」


幽霊がいる証拠がない。
じゃあ、あたし達がしているのは何なんだという驚きがあったのだ。


「じゃ、じゃあ、あたし達がやってることってなんなの!?」

「そうだよ!なんなのさ!!」

「麻衣と結衣がやってる事は雑用だろう」

「「そうでなくて」」


あたしと麻衣が言いたいことはそうじゃない。
SPRは、あたし達がやっている事はなんなのだという意味だとナルに伝えれば溜息をつかれた。


「ぼくがやっているのはデータの収集だな。録画、録音、計器の観測データ。たとえば霊姿がはっきり映ったテープはないが、奇妙なモヤが映ったのもなら無数にある。これを徹底的に分析してそれがなんなのか探る。既知の科学でふるいにかけてそれでも解説できなければそれは『なにか』だ。科学的に新しい現象だということになる」


その言葉に『ひえー……』と思ってしまう。


「『何か』を集めていくと共通性が出てくる。それから『なにか』についての法則が導き出され、『なにか』がどんな存在なのかがわかる。ぼくが探している『なにか』は一般に幽霊と呼ばれているものだ。データが収集し分析してそこから幽霊を狩り出すことがぼくが今行っていること。実を言えば実際に調査にきてデータを収集するのは、そのほんの一段階でしかない」

「それで『ゴーストハント』なんだ。……でも除霊は?」

「除霊についてはおまけだな。調査をさせてもらうかわりに除霊をして相手の不都合を解決してやる──というのが真実に近いかもしれない」

「ふーん……」

「でも、あたし今まで幽霊を見てきたよ?皆もでしょ?皆に見えたってことはそれがいるって証拠じゃないの?」

「確かに……。今まで見てきたのが証拠じゃないの?」

「……ぼくが一度でも皆に何を見て、経験したか正式に証言を求めたか?」

「「うんにゃ……」」


そういえば、一度でもナルから正式に証言を求められたことはない。


「ぼくは何度も霊を見たと感じたことがある。皆が見たと信じていることも知っている。だが、それが『人』を通したデータである限り興味がない。そんなものをいくら積み上げていってもなんの証言にとならないと思うからだ」
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