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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


その後、ナルは帰ってくるともなく結衣と麻衣は旧校舎の中に入ったのだろうかと実験室へと急いだ。


「あ、ぼーさんたちいた!」

「んあ?」

「ナル知らない!?」

「いんや。おい、あっちの子はどうした?」

「あっちの子って、黒田さんのこと?」

「黒田さんは帰ったけど。んもーどこに行ったのかな」


よくよく見れば、法生は袈裟を身にまとっていた。
初めてみるその姿にやはりお坊さんなんだなと、結衣は理解しながら辺りを見渡す。

機材はそのままになっているのに、ナルはいない。
どこに行ったというのだろうか。


「はずかしくなって逃げ出したんじゃないの?」

「かもな」


その言葉に双子はイラッとして機材を片付け始めた。


「あら、2人ともぼーさんの除霊見物しないの?」


綾子の言葉を敢えて無視しながら機材を片付けていれば、横から手が伸びてきてコンセントを巻き付けていく。


「よろしいのんですか、かたづけてしもうて」

「ありがとう、ジョン。いいんだよ、片付けちゃって。ナルも片付けてたし。ね、麻衣」

「うん。それに必要ならまた運べばいいもん。それよりここいつ壊れるかわかんないから」

「壊れた時に機材が巻き込まれちゃったら駄目だしね」

「ボウヤのお説をまだ信じてるわけ?」

「ちがうって証拠ある?だったら悪霊がいるって証明してよ!」

「証明も出来ないくせに偉そうに言わないでよね!」


結衣と麻衣の言葉に、綾子は何も言えなくなってしまっていた。
そして二人は顔をそっぽ向けると機材を運び始め、その後ろでは法生が除霊を始め出した。


「ーーオンラスンバニスンバ ウン バザラ ウン ハッタ。ジャク ウン バン コク」


何言っているのか訳が分からない呪文。
どうせまた失敗するんだと結衣は口を噛みながら、機材を車へと運んで行った。

その後、まだ何か一応あるかもしれない。
そう結衣と麻衣は話し合ってから、ジョンに手伝ってもらってレコーダーを設置することにした。


「結衣さん、麻衣さん。二階にレコーダーセットしましたです」

「あ、ありがとうー、ジョン」

「ありがとう。ごめんね、手伝わせちゃって」

「かましまへん。ほんならボクもちょこっと中を見てきますよって」
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