第8章 呪いの家
ー渋谷・玄道坂ー
現在あたし達は悩み中である。
頭を悩ませて唸りながら、涼しいクーラーが効いたオフィスの応接室でまた唸った。
「なんで、あたしたちって同じ夢を見るんだろうね」
「しかも夢の中で会話もしていて、ナルとも会う。そして幽体離脱や過去視や透視まで出来る」
「これも超能力の一つなのかなぁ」
悩みの種というのは、あたしたちが同時に見る夢について。
同じ夢の内容を見たり、夢の中で会話をしたりしているのだから不思議である。
しかも透視に過去視や幽体離脱まで。
前にぼーさんが言っていたが芸が増えているものだ。
「ナルに聞くべきかなあ」
「でも今、ナルいないじゃん?」
「そうだった、居ないんだった」
現在ナルは旅行中である。
リンさんはいるけれど、彼は相変わらず機材室にお篭もり。
詳しく聞ける相手がいないと思っていた時である。
「ちっーす。お邪魔するぜ〜」
「あ〜、外あっついわ!溶けちゃいそう」
ドアベルが鳴り、何時もオフィスに暇さえあれば来るメンバー達がやってきた。
「ちょうど良かった!!」
「超能力に詳しい人きた!」
「「は?」」
ぼーさんといえば超能力に詳しい、そして綾子も詳しい。
あたし達が同じ内容の夢を見ることについて、なにか分かるかもしれないと輝いた笑顔で二人を見た。
「双子で何故同じ夢の内容を見るか?そりゃ、おれも分からねぇよ」
「「ええ!?」」
「あのな、双子って結構不思議なもんなんだぜ?」
「そうね、双子って不思議な力があるって言うものね」
「双子の片方が困っているのを感じたとか、一卵性双生児の男児が同時に心臓発作で亡くなったとか、テレパシーを感じたとか色々な。まあ、そういうのは一卵性双生児が多いらしいけど……二卵生でもあるかもしれねぇな。とりあえず、おれもなんでお前らが同じ内容の夢を見たり、同時に過去視や透視に幽体離脱出来るのかは分かんねぇよ」
ぼーさんが分からなければお手上げ状態である。
「そーいえば、その内容でナルと話したことあるな。ナルも不思議がってたぜ?是非実験してみたいって言ってたな」
「実験……」
「何させるか分からないから、嫌だなあ……」
なんて話ながら、あたしと麻衣は二人に飲み物を渡す為に立ち上がってから給湯室へと向かった。