第1章 悪霊がいっぱい!?
お祓いが終わった巫女さんは自信ありげに校長先生にそう言う。
本当にちゃんと祓えているのだろうかと思いながらも、校長先生は何故か鼻の下を伸ばしながら巫女さんに歩み寄っている。
「いやあ!お見事でした。なんというかこう、まさに神々しいという表現がぴったりで。どうですか、今夜一席設けますが」
「いちおう除霊したあとは泊まりこんで様子を見ますので」
ぼーさんも麻衣もあくびをして、ナルは興味を失ったように教室へと入っていく。
あたしもまた欠伸をしていればぼーさんがクスッと小さく笑った。
「嬢ちゃん半分寝てただろ、立ちながら」
「失礼な。多分寝てないよ、多分……」
多分寝ていないはず。
だけど半分意識が飛んでいたような気がするので、寝ていたかもしれない。
「なるほど。さすがはプロですなあ。それではどこかでお昼でも……」
鼻の下を伸ばした校長が巫女さんを連れて、旧校舎を出ようとした時である。
何処からか沈むような、軋んだ音が聞こえてきた。
「何……?」
小さくあたしが呟いた時、昇降口の窓に亀裂が入ってそのまま勢いよく割れてしまったのだった。
巫女さんの悲鳴、飛び散るガラスの破片と血。
まさかの自体に全員が慌てる始末になった。
「……心配ありませんわだって。除霊なんてできてないじゃない。校長先生にケガまでさせちゃって」
黒田さんは挑発めいた笑みで巫女さんを嘲笑う。
そんな中でやっぱり真砂子はきっぱりと冷静に言い放つ。
「あれは事故ですわ」
「そうよねぇ。アタシはちゃんと……」
「除霊できたという意味ではありませんわよ。ここには初めから霊なんていませんの」
真砂子の発言を皮切りに言い争いが勃発。
なんでこうも霊能者というのは同業者と言い争いをするのだろうか。
「……偶然ですやろか」
「やーっぱなんかいるんじゃねえ?巫女さんじゃ手におえねえような強いやつが」
「だったらもっと機械に反応があってもいいはずなんだが」
次はぼーさん達まであーだこーだと言い争いを始める。
それを聞いていたあたしと麻衣はイライラとしながら画面を見る。
「いるのかいないのかはっきりしてよ、ホント」
「どっちなんだよもー。くっそー、あたしにも霊能力あったらなぁ。さっさと解決してハイおしまいって……」