第1章 悪霊がいっぱい!?
蹴破られた扉の向こうには青ざめた表情の巫女さん。
何ともなかったようで何よりと思っていたが、巫女さんにとってはそうでもなかったようで、『どうなってるの!』と叫んでいた。
「なんなのよもうっ!」
取り敢えず煩い巫女さんを落ち着かせる為、教室に戻ってから事情を聞くことに。
「教室の中見てたらいつの間にかドアが閉まっててさ。開けようとしても開かなかったのよ」
「自分で閉めたんじゃねえのか?」
「違うわよ!やっぱりここなにかいるわよ」
確かに巫女さんが閉めたんじゃなきゃ、一体誰が閉めたという話になる。
あたし達はここに居たわけだし、ぼーさんも違うようだから、本当に『何か』が居たわけ……。
「……霊はいませんわ。なんの気配も感じませんもの」
霊媒師の真砂子は言い切ってしまった。
「……なによあんた」
「仮にも霊能者なのでしょ?あの程度のことで声を上げるなんて情けなくなりません?」
「小娘は黙ってなさい!アタシは顔で売ってるエセ霊能者とはちがうのよ!」
「容姿をおほめいただいて光栄ですわ」
霊能者というのは何故こうも口喧嘩をするのだろうか。
あたしと麻衣は顔を見合せてから肩をあげて、やれやれという様子を見せる。
「アタシはこの場所に住んでる地霊の仕業だも思うわ」
「チレイ……?」
「チレイ?地縛霊のこと?」
「んー、ちがうわね。地縛霊ってのは何かの因縁があってその場所にとらわれてる人間の霊をいうの。地霊な土地そのものの霊……精霊のことね」
「おれは地縛霊のほうだと思うけどなあ。この校舎昔なんかあったんじゃねえ?んでその霊が住み家をなくすのを恐れて工事を妨害してる感じじゃねぇ?」
淡々と巫女さんとぼーさんは何の仕業なのかを話していく。
「君はどう思う?ジョン」
「ぼくにはわかりまへんです。ふつう幽霊屋敷の原因はスピリットかゴーストですやろ?」
「スピリット……精霊か。ゴーストは幽霊。聞いてるか、結衣、麻衣」
「「ご親切にどーも!」」
いつの間にかナルちゃんは釘を持っていて、それを手で弄りながらこちらがむかっ腹を立てるかのような聞き方をしてくる。
「原因がスピリットやったら、そのが地霊のゆかりの場所か家にスピリット……悪魔を呼び出したのとがあるとかなんやです」