第1章 悪霊がいっぱい!?
まるで鈴を転がすように可愛らしい声。
お人形のように可愛らしければ、声まで可愛いだなんて。
神は二物を与えずというけど嘘だと思う。
「ゴーストハンターです。渋谷と申しますが」
お堅い挨拶をするナルちゃんを見ていれば、ツンツンと肩をつつかれた。
どうしたのだろうかと振り返れぱ、麻衣があたしの耳元に口を寄せてくる。
「あたし達なんでコトの中心にいるんだろ……」
「……確かに。いつの間にか巻き込まれてるよね」
だがこれも全てあの時カメラを壊し、ナルちゃんの本当の助手さんに怪我をさせたあたし達が巻いた種。
それにしてもこんな事に巻き込まれるなんて思ってはいなかった。
ゴーストハンターのナルちゃん、巫女さんにぼーさんとエクソシストに霊媒師。
不意にメンバーを思い返してからゾッとしてしまう。
(ここに出る幽霊って、もしかしてかなりヤバい……?)
面倒臭い事に巻き込まれていると散々思っていたが、それだけではない。
とてもヤバい状況だと分かった時……。
「キャアアアア!!」
何処からか巫女さんの切羽詰まった悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ今の声は!?」
悲鳴を聞きつけたのか、何処かに行っていたぼーさんが慌てて駆け寄ってくる。
「た、たぶんあの巫女さんの声じゃない?」
「結衣さんの言う通り、松崎さんの声とちがうやろか」
じゃなかったら誰の悲鳴だと恐怖が出てくる。
そう思いながら全員で教室を出れば、左側の廊下から何かを叩く音。
「あっちか」
冷静なナルちゃんは廊下を歩き始め、全員が同じように歩いて着いていけば一つの教室から巫女さんの悲鳴のような声と扉を叩く音が聞こえてきた。
「開けて!ちょっと開けてよ!」
ナルちゃんは冷静なまま、無表情で扉を開けようとするがなかなか開かない。
ドアノブを捻ったり引っ張ったりしているが、扉はうんともすんともしないのだ。
「おかしいな」
「かしてみろ」
ぼーさんが代わって開けようとするが、やはり扉はまるで岩のように動かない。
「仕方ねぇな。おい、蹴破るぞ!どいてろ綾子!」
「勝手に呼び捨てにしないでよ!」
相変わらずの巫女さんの怒号だが、それを無視してぼーさんは意図も簡単にドアを蹴破ってしまった。