第6章 禁じられた遊び
「はは……たす、助かるんだな?ははっ、そうだよな。なんでおれが死ななきゃならんのだ。ははは……」
「先生。そもそもの原因は貴方です。覚えておいてください」
松山は何も分かっていないのだ。
何故自分が殺されそうになっているのか、安原さんの言葉もおそらく分かっていないはず。
「でもな、ナルちゃん。肝心の坂内は死んでんのに、死人に呪詛を返すなんてできんのか?」
「……死人に呪詛は返せない。それにそもそも呪詛を行ったのは彼じゃない」
「は」
「え?坂内くんじゃないの?」
あたしの言葉にナルは小さく頷く。
「……呪詛を返せば呪詛は呪者自身に返る。それを知らなかったとはいえ───呪詛を行ったのは生徒たちだ」
ナルの言葉に息が出来なくなるような感覚に陥る。
呪詛を返す、呪詛を行ったのは生徒……つまり、ナルは生徒たちに呪詛を返すと言っているのだ。
「───い、いま……なんて……?」
「呪詛を呪者に返すって……生徒たちに返すってことなの……?」
あの鬼火、大きくて蠢いていて孵化してしまった鬼火を生徒たちに返すなんて……と目を見開かせて身体を震わせる。
「やめて。やめてよ、ナル!そんなの駄目だよ……!」
麻衣が必死に言葉を発する。
だがナルはそれを冷ややかに受け止めず、言葉を返してきた。
「松山を見殺しにしろと?お前まで馬鹿になるなよ。知らないとはいえ、生徒たちは呪詛を行った。法で罰せられなくてもこれは殺人の手助けに他ならない」
「それは、分かってるよ!でも……!」
それでは生徒たちが死ぬかもしれない。
生徒たちまで見殺しにするつもりなのかと、あたしはナルを睨むが彼はただ冷たい目をしてるだけだった。
「呪詛は生徒たちに返る。原因になったこの人はそれを後悔する。これでフェアというものだろう」
「でも……」
「───渋谷さん。呪詛が返ったらぼくらはどうなるんでしょう?」
安原さんは冷静に尋ねた。
「呪者の数があまりにも多い。力は分散され効力は弱まるはずです。……理屈では。そうなるよう祈ってください」
「そんな残酷な!」
「……解決をお願いしたのはぼくたちです。それしか方法がないのでしたら」
「ありません」
「では、宜しくお願いします」