第1章 悪霊がいっぱい!?
「おまえ達もさっきいっただろう。その先輩が人影を見た教室がどこかわかるか?」
「えっと、二階の一番西側……って言ってたかな。だよね、結衣」
「うん。そこで人影が見えたらしいよ」
「よし、そこに機材を置いてみよう」
機材を置くということは、またあの重たいものを運ぶ事になるのかと嫌な事を思い出した。
なんであんなに重たいものばかりなんだ……と思いながらも、準備をする為にブレザーを脱いだ時である。
「おっ、おいあれ……」
坊さんが困惑したような声を出したので、何事だろうかと振り返ると人影が二人見えた。
(んー?あれ、校長じゃん。で、隣は誰だ?)
こちらに歩いてきているのは校長がいるのだが、あたし達は隣にいる青年に驚いた。
「ああ、おそろいですな」
何せ校長の隣にいたのは、金髪に海のようなブルーの瞳をした外国の方だったから。
しかもとても可愛らしい容姿なものなので、驚いてしまう。
「もうひと方お着きになりましてね。ジョン・ブラウンさん。仲良くやってくださいよ」
紹介された外国の人はにっこりと微笑むのだが、その微笑みが本当に可愛らしい……と思った時である。
「もうかりまっか」
ぺこりとお辞儀をした彼は、全員が固まるような挨拶をしたのである。
「ブラウンいいます。あんじょうかわいがっとくれやす」
「その……ブラウンさんは関西のほうで日本語を学んだようで」
校長は困ったように笑っている。
まさか、外国の人から関西弁を聞くことになるなんて思ってもいなかった。
「それじゃ、わたしは」
「おおきにさんどす」
相変わらずの関西弁に後ろで巫女さんと坊さんが笑いを堪えているのが聞こえてくる。
あたしも麻衣も笑いそうになったが、なんとか我慢していたが、1人だけ笑っていないナルが質問を投げかけた。
「……ブラウンさん?どちらからいらしたんですか?」
「へえ、ボクはオーストラリアからおこしやしたんどす」
「おいっ、ボウズ!たのむからそのへんな京都弁やめてくれ!!」
坊さんは涙が出るほど笑いながら、ブラウンさんの京都弁を止めさせようとした。
「丁寧な言葉もいうたら京都の言葉と違うのんどすか」
「京都弁は方言の一種!悪いこたいわないからやめろ!な?」
「はあ……」