第6章 禁じられた遊び
「受験はだいじょうぶなのか」
「ご心配なく」
上着をパイプ椅子にかけたり、机の上に置いたりしながら結衣は辺りを見渡す。
何処にでもある学校の会議室は湯浅高校とそう変わらない。
ホワイトボードに長テーブル。
質素で簡潔な場所である。
「さて!調査拠点(ベース)も確保したところで、まずどうする?」
「そうだな……各事件に関わった生徒たちに話を聞いてみようか。麻衣、結衣。さがしてきてくれ」
「「どーやってさ!?」」
双子の声が揃う。
右も左も分からないうえに全生徒が何人いると思っているんだと叫ぶ。
「あ、じゃあぼくが」
そこで助け舟。
双子は安原にとても感謝した。
「そのほうが早いな。お願いします」
準備をしている中、松山は未だにベースに居座っていた。
そして偉そうにパイプ椅子に腰掛けるので結衣は眉を釣りあげながら『こいつ、いつまでいるんだ?』と不満げだ。
「手っ取り早くやってくれ。おれも忙しいんでな!」
「先生はお帰りくださって結構です」
「そうはいかん。生徒を管理するのがおれの仕事だ」
またもや松山は双子の怒りに触れる。
生徒をなんだと思っているんだと、二人の目がつり上がっていた。
「事件に関わった以上、彼らも依頼人のようなものです。依頼人のプライバシーは守ることにしていますので」
「子どもにプライバシーがあるか!」
「年がいくつだろうと依頼人は依頼人です。お引取りを」
「おれがいちゃ、都合の悪いことでもやからすつもりか!おれは霊能者なんかを学校に入れたやつの言い分を聞きたいんだ」
「では校長室へどうぞ」
ナルの言葉に松山は固まる。
そして法生と結衣は思いっきり吹き出してしまった。
「そりゃそうだ。依頼したのは校長だもんな」
「文句なら校長に言わなきゃねぇ!」
ケラケラと笑う結衣は松山を見る。
彼は顔を真っ赤にさせたかと思えば、勢いよく立ち上がった。
「かまわんさ!なにかあったら校長の責任だからな!」
捨て台詞を吐くと松山は会議室を後にした。
怒りのあまりに足音が大きくなっていて、会議室からでもよく聞こえる。
(馬鹿なんだなぁ、あの教師)
なんて思っていると、双子の妹は怒りで叫んでいた。