第6章 禁じられた遊び
彼は、そんな双子の視線に気づいているのかどうか分からないが短く息を吐き出した。
「──……正直いって、緑陵高校の事件には興味をもっています。しかしぼくはマスコミと関わるような事件は……」
「お気持ちは分かります!ぼくたちも毎日おしかける取材に迷惑していますから。だからこそ、いっそう早く事件が解決されることを願っているんです。どうか、お願いします!」
安原は深くナルに頭を下げる。
そんな彼に結衣は眉を少しだけ下げてから、ナルへ『どうにかしてあげてよ』という視線を向けた。
その視線を鬱陶しそうにしていたナルだが、彼は再度短く息を吐き出す。
「……麻衣、緑陵高校に電話してくれ。依頼をお引き受けしますと」
ナルの言葉に双子は表情を明るくさせ、安原はホッとしたようにしていた。
数日後。
ナルと双子とそして協力を仰いだ法生は緑陵高校に来たのだが、そこはなんとも言えない歓迎のされ方だった。
「校長室ですか?右手の廊下のつきあたりですが……」
校長室を事務室の事務員に尋ねれば、事務員はいかにも怪しいものを見る目付きで彼らを睨めつけたのである。
「……なんか、や〜〜な感じぃ!」
「ふつー、あんな態度取る?」
「学校てのは部外者を嫌うからねぇ」
文句を言う双子と違い、法生は落ち着いた様子である。
「……ぼーさんがアヤしかったのかな」
「……なんでよ」
「金髪長髪の軽薄そうな見た目だから?」
「うっせぇ。ところでリンは?あとから来んのか?」
「うん。こっちから必要な機材の連絡入れてから、ついでに綾子も拾って」
「ジョンと真砂子は明日来るって」
結衣は息を吐き出しながら、居心地の悪さに目を閉ざす。
歓迎されていない空気に不審者として見られているような目は堪えてしまう。
(湯浅と大違いだなぁ……)
事務員だけがそうだったのかもしれない。
なんて思っていたが、彼女が待ち受けていたのはとんでもない歓迎の言葉であった。
「とにかく早いところ、こんな馬鹿騒ぎをなんとかしてもらおうか!まったく!なにが幽霊だ、バカバカしい!」
校長の言葉に法生は冷や汗を浮かべる。
今にも怒り狂いそうなほど、頬とコメカミを引き攣らせている結衣と同じく無表情で怒りに耐えている麻衣。