第1章 悪霊がいっぱい!?
放課後。
暗くなってきた時刻、明かりもない視聴覚室で女子生徒たちが息を飲みながら怪談を行っていた。
「あたしの話はこれでお終い」
わざと震わせた声で、怪談話の終わりを告げた少女の名は谷山結衣。
高校一年生になったばかりのこの少女は、双子の妹と三人の友人たちと暇潰しという名の怪談を行っていたのである。
双子の妹の名前は谷山麻衣。
2人は双子だが二卵生であり、何処と無く似ている……という風貌をしていた。
だけどショートヘアの髪型や目の大きさに色はそっくり。
「次、麻衣だよ」
「うん。じゃあ、あたしの話は……」
にっこりと微笑む麻衣は息を飲むと、準備しておいたとっておきの怪談話を始めた。
「でね、女の人はおまわりさんを連れて公衆トイレに戻ったんだって。んで、おまわりさんの指示どおり中に入って、あの声がするのをまったの。そして気味の悪い声が……」
赤いマントをかぶせましょうか……
「女の人は『はい』って答えたの。したら、次の瞬間すっごい悲鳴!おまわりさんがあわててドアを開けたら……女の人はまるで赤いマントをかぶってるみたいに、血まみれで死んでたの。体中がね、針でつつかれたみたいに、小さな穴だらけだったんだって……」
カチッとライトの明かりが消される。
その瞬間『やだ!』と小さな悲鳴が上がった。
怪談話を終える度に、明かりを一つ一つ消していく。
そして最後に数をかぞえると、1人増えているという噂を5人は試していた。
「麻衣ってば!怖い声出さないでよ!」
「麻衣も結衣も最後に怖い声出すの本当にやめてよ!」
「ごめんごめん。だって反応が面白いんだもん」
「ごめんごめん。最後、ミチルだよ」
双子は悪びれる様子もなく謝り、次の順番であるミチルにバトンを渡す。
バトンを渡されたミチルは小さく息を吐き出した。
「……じゃあ、旧校舎の話をするね……」
「旧校舎?」
「旧……ってあの木造の半分崩れてる?」
「崩れてるんじゃないの。取り壊そうとしてあそこで工事がストップしちゃったの。たたりで」
頻繁に起こる火事や事故、生徒の死、自殺した先生、子供の死体。
「新校舎を建てた時、取り壊そうとしたんだって。そしたら……」
相次ぐ作業員の病気、事故、機械の故障