第4章 放課後の呪者
すると、あたしと同時にリンさんまでもため息を吐き出しているのが見えた。
そんな彼にナルは薄く微笑む。
「もうしない。約束する」
「どうですか」
だが、あたしは不思議に思えた。
指の力なんかでスプーンをちぎれるものだろうかと。
(いや、でも出来るのかな……?)
完全に騙されたものである。
あの時の驚いて感動した感情を返して欲しいぐらいだ。
「あーあ、なーんだ。期待してソンしちゃった」
「だねえ。あの時の感動した気持ち、返して欲しい」
曲げられたスプーンを見て、あたしと麻衣は肩を下ろす。
あの時は本当に凄いと思ってしまったのだ。
(ありゃ?でもなんで、こんな事でリンさんは怒ったんだろう?それに手品なら、あの時ナルはなんでリンさんに黙って欲しいって言ってたんだろう)
首を傾げて見るが、分からない。
するとぼーさんが『たく、期待してソンしたぜ』とあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「はー、たく。せっかくだからみんなでメシいこーぜー」
「えっ、オゴリ?」
「ぼーさんのオゴリ?」
「しょーがねぇな。未成年だけオジさんのオゴリ」
「やったー♡ナルたちは?いくでしょ?」
「仕事がある」
「えー、いこーよ」
ー『放課後の呪者』完ー