第6章 黄金のグリフィン
残りの生徒も半数ほどに減った頃、誰もが待ち望んでいた名前を告げた――
「ポッター・ハリー!」
まるで時が止まったかのように静寂に包まれた。そして次の瞬間、まるで堰を切ったように、興奮の波が押し寄せる。
先ほどのグレインの時とは比べものにならない熱気が場内を支配する。
「お願い...グリフィンドールに...」チユは心の中で祈った。
ハリー、ロンと一緒の寮で過ごせたら、どんなに素晴らしいだろう。
帽子の返事を待つ時間は、永遠のように感じられた。
そして――
「グリフィンドール!!」
帽子が叫ぶや否や、グリフィンドールのテーブルが爆発するように沸き立った。
「ポッターをとった!ポッターをとったぞ!」双子が踊るように飛び跳ねながら叫ぶ。
よろめきながらグリフィンドールのテーブルに向かってくるハリーに、チユは温かな微笑みを向けた。緊張で強張っていた彼の表情が、ようやく柔らかくなる。
「おめでとう、ハリー!」
「ありがとう、君と一緒になれて良かった」
「ようこそ、ハリー!これで優勝杯は戴きだな!」
「なんせあのハリーとお姫様が居るんだからな!」
双子の軽口に、2人は顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。
そしてついに、最後のヤマ場。ロンの番が回ってきた。
ロンが帽子を被るか被らないかのうちに、帽子は即座に「グリフィンドール」と宣言した。
「やったね、3人一緒だ!」ロンの声には安堵と興奮が混ざっていた。
「本当に良かった...!」
「うん、最高だ!」
3人は晴れやかな表情でハイタッチを交わした。
長い組分け式も終わると、教師陣のテーブルの中央に座る長い銀色のひげを蓄えた魔法使いが立ち上がった。
「新入生諸君、入学おめでとう!歓迎会を始める前にわしから二、三挨拶を言わせて貰いたい。ではあ・そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょいっ!以上じゃ」
チユは目を見開いた。
リーマスが最も偉大で聡明な魔法使いと崇敬していた人物が、こんなにも型破りな人物だとは。
「あの人、ちょっと変わってるね...」ハリーが不安気にそう言った。
チユは思わずクスっと笑った。
自分のような存在を温かく受け入れてくれたのも、きっとこの型破りな校長の懐の深さゆえなのだろう。
ホグワーツは自分が考えていた以上に面白い場所なのかもしれない。