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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第6章 黄金のグリフィン




まさかホグワーツにあんなに大勢のゴーストがいるなんて、チユは驚きで言葉を失った。
これからこんな所で生活しなきゃいけないのかと思うと気分が滅入りそうである。
ゴーストが出ない分、墓地の方が幾分マシじゃないかとすら思えてきた。


「さあ、皆さん付いてきて下さい。組分け儀式が間もなく始まりますよ」
いつの間にか準備を終えたマクゴナガル先生が再び戻ってきて言った。


皆、緊張しながら足を踏み出した。
気休め程度にしかならないが、チユは髪を撫で付けて出来るだけ自分の瞳が目立たないようにした。


大きな扉が静かに開かれ、目の前に広がった光景に思わず息を呑んだ。天井には無数の星がきらきらと輝き、何千本もの蝋燭が宙に浮かんでいる。その幻想的な光景はまるで夢の中のようだった。テーブルが4つ、整然と並べられ、そこにはすでに上級生たちが座っていて、さらにその上段には教師たちが控えていた。


感動し、天井を見上げるチユに、突然、誰かの声が耳に入った。


「本当の空に見えるように魔法がかけられているのよ。『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」


それは、グレンジャーの声だった。
広間の美しさにため息を付く生徒達とは別に
チユは呆れたため息を漏らした。


その時、マクゴナガル先生が、新入生の前に一つの椅子を置く。

その椅子の上には、ツギハギだらけで、かなり年季の入った帽子が乗せられていた。まるで何度も繰り返し使われてきた証のように、その帽子は今にも壊れそうなほど古びている。

新入生たちがその帽子を見つめると、驚くべきことに、その帽子が一人でにビクビクと動き出し、ツバの破れ目が口のようにパクパクと開いた。

しばらく沈黙が続いた後、なんと帽子が歌い出したのだ。

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