第16章 仕掛けられた罠
けれど、いざ扉を開けてみると、そこに待ち構えていたのは恐ろしい魔物でも罠でもなかった。
ただ、一台の長いテーブルが部屋の中央に置かれており、その上には形も大きさも異なる7つの瓶が、一列に並べられていた。
「…スネイプ先生だ……」
ハリーがぽつりと呟く。どこか緊張がにじんでいた。
チユは無言でテーブルを見つめた。見た目はただの瓶。しかし、この静けさが逆に不気味だった。
「これ、何をすればいいんだろう……?」
ハーマイオニーが眉をひそめる。
3人が扉の敷居をまたいだ瞬間だった。
バッ、と音を立てて、背後の入口が紫色の炎に包まれた。まるで袋が燃え上がったかのようだったが、炎はその場にとどまり、道を塞ぐように揺れている。
「ただの炎じゃない!」
ハーマイオニーが驚きの声を上げた。
同時に、前方の扉の前にも黒い炎が現れた。激しく燃え盛りながらも、一切の熱を感じさせないその炎は、出口を完全に閉ざしていた。
「閉じ込められた!」
「見て!」
チユが声を上げ、指さした。
炎に挟まれた空間には、テーブルと瓶だけが残されていた。進むことも戻ることもできない。今、この場を抜けるには、何かを選ばなければならない――そう告げているかのようだった。
チユは瓶を見つめ、肩をすくめるようにして言った。
「これ、飲むしかないってこと…?」
その声には不安と、ほんの少しの決意が混ざっていた。
震える指先を、チユはぎゅっと握った。
ハーマイオニーが瓶の横に置かれていた巻紙を取り上げた。チユとハリーはハーマイオニーの肩越しにその紙を読んだ。