第16章 仕掛けられた罠
チユはハリーの決意に深く共感していた。自分だって、このまま何もしないでいるなんて絶対に嫌だ。ハリーやロン、ハーマイオニーと共にいるのなら、自分も戦うべきだ。
「僕は透明マントを使うよ。マントが戻ってきたのは幸運だった」
ハリーが言うと、チユはふと眉をひそめた。
「でも……4人全員入れるかな?」
「全員って……君たちも行くつもりかい?」
ハリーは驚いたように目を見開いた。
チユは悪戯っぽく口元を歪め、にっと笑う。
「当たり前だよ、置いていかれるなんて、まっぴらごめんだもん」
ハリーが少し言葉に詰まるのを見て、チユは肩をすくめる。何を今さら、という気持ちだった。危険なのは百も承知。でも、だからといって黙って見ているなんてありえない。
「……行くなら、僕も行くぞ」
ロンが苦笑しながら肩をすくめる。いつものことだ、と言わんばかりの様子だった。
ハーマイオニーは深いため息をつきながらも、観念したように頷く。
「そうね、こうしちゃいられないわ。私、本を調べてくる。何か役に立つことがあるかもしれないし」
彼女の額には、既に次にやるべきことを考え始めた印が見えた。
だが、ハリーはまだ何か言いたげに眉をひそめている。
「でも……もし捕まったら、君たちも退校になるよ」
静かな警告だった。その言葉には、単なる忠告以上の重みがある。
けれど、チユはそんなハリーの言葉に、ふっと笑みを漏らした。
「それがどうしたの? 今さら怖気づくような私たちじゃないでしょ?」
言いながら、チユは軽く拳を握りしめた。怖くないわけじゃない。でも、それ以上に、ここで立ち止まる理由なんてなかった。
ハリーは一瞬、チユをじっと見つめ、それから小さく息を吐いた。
「……わかった。じゃあ、行こう」
こうして、4人の決意は固まった。