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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第15章 森への足音



「とぼけるなよ。クリスマスパーティに誘ってやっただろ? なのに、お前は来なかった」


チユは思わず口をつぐんだ。


「あれ、ただの社交辞令だと思ったし……」

「そんな訳あるか、お前みたいなやつをわざわざ社交辞令で誘うかよ」


マルフォイの声が少し苛立ちを帯びる。ネビルが「え、何の話?」ときょとんとした顔で2人を交互に見た。


「だってマルフォイ家のパーティなんて、貴族の集まりでしょ?そんなの、私が行っても浮くだけだし」

「……バカバカしい。そんな事気にしてたのか」


マルフォイはため息をつき、しばらく何か考えるように口を閉じた。


「まあ、いい。次は絶対来いよ」

「次って、また招待してくれるの?」


チユが驚いたように聞き返すと、マルフォイはそっぽを向いた。


「……別に、お前が来ようが来まいがどうでもいい。ただ――」
言いかけて、マルフォイは一度口をつぐんだ。

「……暇つぶしにはなるかもしれないしな」


マルフォイの言い方は相変わらず嫌味っぽい。


「まあ、気が向いたらね」

適当にそう答えると、マルフォイはふんっと鼻を鳴らした。


「気が向かなくても来い」

「命令?」

「当然だろ」


マルフォイはそう言い放つと、歩く速度を少し上げた。
チユはその後ろ姿を見ながら、小さく笑った。

「……変なの」
「はは」

ネビルは苦笑しながら、ファングの背中をぽんぽんと叩いた。
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