第15章 森への足音
「とぼけるなよ。クリスマスパーティに誘ってやっただろ? なのに、お前は来なかった」
チユは思わず口をつぐんだ。
「あれ、ただの社交辞令だと思ったし……」
「そんな訳あるか、お前みたいなやつをわざわざ社交辞令で誘うかよ」
マルフォイの声が少し苛立ちを帯びる。ネビルが「え、何の話?」ときょとんとした顔で2人を交互に見た。
「だってマルフォイ家のパーティなんて、貴族の集まりでしょ?そんなの、私が行っても浮くだけだし」
「……バカバカしい。そんな事気にしてたのか」
マルフォイはため息をつき、しばらく何か考えるように口を閉じた。
「まあ、いい。次は絶対来いよ」
「次って、また招待してくれるの?」
チユが驚いたように聞き返すと、マルフォイはそっぽを向いた。
「……別に、お前が来ようが来まいがどうでもいい。ただ――」
言いかけて、マルフォイは一度口をつぐんだ。
「……暇つぶしにはなるかもしれないしな」
マルフォイの言い方は相変わらず嫌味っぽい。
「まあ、気が向いたらね」
適当にそう答えると、マルフォイはふんっと鼻を鳴らした。
「気が向かなくても来い」
「命令?」
「当然だろ」
マルフォイはそう言い放つと、歩く速度を少し上げた。
チユはその後ろ姿を見ながら、小さく笑った。
「……変なの」
「はは」
ネビルは苦笑しながら、ファングの背中をぽんぽんと叩いた。