第13章 再会と新たな謎
チユが談話室に足を踏み入れた瞬間、フレッドとジョージがにやりと笑いながら彼女に近づいてきた。
2人の目は、まるで勝者から報酬を引き出すべく今か今かと待ち構えているかのようだ。
「やあ、姫!見事に試合に勝ったわけだし…」フレッドが片眉を上げながら言った。
「約束のご褒美をもらいに来たよ!」ジョージが続け、2人は揃って笑顔を見せた。
チユは少し考え込んだ。前回、勝ったらご褒美をあげると約束してしまったが、フレッドとジョージに何をあげるか決めかねていた。
「何が欲しい?…まさか発明品のモルモットにされたりするわけじゃないよね?」チユは冗談交じりに尋ねた。
2人は顔を見合わせ、揃って大げさなお辞儀をした。
「まさか!」フレッドが胸に手を当て、傷ついたふりをした。
「俺たちをなんだと思ってるんだ?」ジョージも同じポーズを取った。
彼等はお互いに顔を見合わせ、しばし沈黙が流れた。そして、ジョージが少し恥ずかしそうに、でも明らかに冗談めかして言った。
「じゃあ…頬にキスしてくれよ」いたずらっぽく笑顔を見せると、軽やかに続けた。「なーに、グリフィンドールの勇敢なビーターへのささやかなご褒美さ」
フレッドもすかさずニヤリと笑って続けた。「そうさ!危険な仕事なんだぞ、ブラッジャーから皆を守るのは」
チユは驚きと少しの困惑が入り混じった表情を浮かべ、しばらく2人を見つめた。
「本当に、そんなことがご褒美になるの?」チユは言いながら、微笑んで目を閉じる素振りを見せた。「でも、まあ、そんなことならいくらでも。お財布が泣く事にならなくて良かった」
そう言って、少しためらってから、軽くフレッドとジョージのほっぺにキスをして、2人が驚く前にすぐに顔を背けた。
「ほら、これで良い?」チユは茶目っ気たっぷりに笑った。
フレッドとジョージは顔を赤くし、しばらく黙ってから、一斉に爆笑し始めた。
「これは、まいった!すごい破壊力だ…!お姫様の熱〜いキッスでジョージが人間に戻っちまったよ!」フレッドが息を切らしながら笑った。
「いや、まさか…!呪いが解けてフレッドがついに人の言葉を喋れるようになった!」ジョージも笑いながら言った。
チユも笑いをこらえきれず、つられて笑い出した。
やはり、彼らといると、思わず笑顔になり、自然と元気が湧いてくるようだった。
