第12章 初めてのクリスマス
ホグワーツ特急に乗り込むと、外は一面の雪景色に包まれていた。車窓から見える風景は、まるで魔法のように白く輝き、チユの胸は高鳴った。ようやくリーマスと再会できるのだ。
「早く会いたい…」
チユは静かに呟き、列車の窓に映る自分の顔を見つめる。大きな夢を抱いてホグワーツに来た自分が、今こうして暖かな場所に帰ることができる――それは信じられないほど幸せだった。
列車が駅に到着すると、リーマスが待っていた。真冬の寒さにもかかわらず、彼は穏やかな笑顔で手を振っている。
その姿を見た瞬間、チユは心から安堵の息を漏らした。
「チユ、よく来たね。」リーマスは優しく声をかけると、彼女の荷物を持ち、列車を降りる手伝いをしてくれた。
「リーマス、ありがとう。」チユは感謝の気持ちを込めて微笑んだ。リーマスは肩を軽く叩き、優しく言った。
「さあ、家まで行こう。」
リーマスの家に到着すると、木造の家が静かに迎えてくれた。外観は素朴で温かみがあり、窓からは暖かな光が漏れている。なんだかとても懐かしい気持ちになった。
この家で過ごしたのは入学前の数ヶ月間だけだったが、まるで小さな頃からここで生まれ育ったような、心地よい温もりを感じる。
「おかえり、君が帰ってくるのを楽しみにしていたよ」
リーマスがドアを開けて彼女を招き入れると、室内の暖炉がポコポコと音を立てて燃えているのが聞こえた。
「わぁ、すごく温かい…!」チユは足を踏み入れると、すぐにそのぬくもりに包まれた。木の床に足を置いた瞬間、心から落ち着く感覚が広がった。
リーマスは微笑みながら暖かい紅茶をいれてくれた。「寒い外から帰ったら、まずはこれだよ。」
チユはリーマスから差し出された紅茶を受け取ると、温かいカップを両手で包み込むように持った。
居間のソファに座り、ふと目を閉じて深呼吸をする。
外では冷たい風が吹き荒れているけれど、ここはまるで異世界のように温かい。寒さと静けさから解放されたこの場所にいると、心から安心感が湧いてきた。