第10章 ハロウィンの大惨事
毎日たっぷり宿題があり、さらに毎晩遅くまで魔法薬学の勉強をしていた。
忙しい日々が続く中、ハロウィンの朝、大広間ではロンがパンプキンパイを口いっぱいに頬張り、食欲に任せて幸せそうな顔をしていた。
いつもなら朝食を取らないチユも、その美味しそうな香りに誘われて思わず手を伸ばす。
しかし、手が届きそうになった瞬間、バロンがスーッと近づいてきて、手紙を運んできた。
チユは急いで手紙を広げると、その中身に目を通した。
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親愛なるチユへ
元気にやっているかな?
今日のハロウィンのパーティで、君が楽しい時間を過ごせることを心から願っているよ。
いつでも私は君の味方だ、何かあったらすぐに助けになるからね。君の幸せを祈っているよ。
愛をこめて、リーマス・J・ルーピン
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チユはリーマスの言葉1つ1つに、優しさや温かさを感じ、文字を指でそっとなぞりながら、心を込めて読んだ。まるでリーマスが目の前にいるかのように、彼の声が響くような気がして、自然と微笑みが浮かぶ。
「いつも嬉しそうに手紙を読むよな、君って」
ロンが茶化すように言う。
「まさか、ボーイフレンドからとか?」
チユは少し悪戯っぽく笑いながら答えた。
「まぁ、そんなところかな」
冗談交じりにそう言うと、ロンとハリーは目を見開いて驚きの表情を浮かべた。
「まさか!嘘でしょ!?」
「まぁ、君って”顔だけ”はいいからな。兄貴たちには黙っておいた方がいいぜ、そのボーイフレンドの命が惜しけりゃね」
チユは軽く顔を顰め、杖を手に取る素振りを見せた。
「君たちは命が惜しくないみたいだね」
するとロンとハリーは慌てながら手を振り、「冗談だよ」と言って笑いながらごまかした。
チユは肩をすくめ、ふっと息をついて手紙をもう一度大切に閉じると、何事もなかったように話題を変えた。