第7章 【彼氏】
「ねぇ...」
じとり、と彼は僕を見つめてくる。
校門の前で、僕の帰りを待ってくれていたみたいだ。
彼の指が、僕の長い髪をかき分けてサラリと姿を現す。
「ふふっ、何?」
「もっと...俺に近付いて欲しいんだけど...」
ちらりと、ちょっとした上目遣いで見つめられる。
周りに人はいない事を確認して、囁いてきたようだ。
「んんー...ごめんねぇ...これ以上は...」
微笑みながら、僕は彼の身体を離した。
ーーー僕も彼に、もっと触れたい...もっと、もっと...
でも、残念だけどそれはできない。
「手を、繋ぐのもだめ?」
「それはもう、大丈夫だよっ」
ぎゅうっと、すぐ、彼は僕の手を握ってきた。
触れ合った瞬間、とっても嬉しそうにしていた。
「あったかいねぇ...」
「うん...」
しみじみと、幸せを感じていた。
「ね、ねぇ、やっぱりキスの回数増やしたいんだけど...もう、俺の事許してよ...」
彼は、もじもじと提案してくる。
「うぅ〜ん...だめっ」
そしたら彼は、分かりやすくむくれてしまった。
僕たちは、このままでいい...
エッチな事も、当分だめ...1年位は。
ーーーもう二度と、あんな姿を晒す訳にはいかないからね...