第10章 【後輩】
「それとも何だぁ!?ここにいる通行人に、代わりに殴られて貰うかぁ!?」
不良たちは、調子付き始めたようだ。何をしてもスルーされるから。下劣な笑い声を上げている。
「ッ....っ!」
ここで...ただ黙って見ているだけでいいのか...!?
ーーーでも..."聖人"でいられなくなる恐ろしさより、圧倒的に不良に絡まれる恐ろしさを上回っているな...
頬に汗をかいた。グッ...と、手のひらを握り締める。
「いや...あの...っ僕は...そんな事...!」
「おい!!何とか言えよぉおおお!」
不良グループの内の1人が、拳を高く振りかざす。
ーーーまずい!
本気だ。あんな本気で殴られたら、彼はーー...!!!
「...........〜ーーッッ!!!」
両腕を大きく広げ、男子中学生の前に立った。
「えっ...?」
無言でそのまま殴られる。
鈍い音が、響き渡った。身体が宙に舞った。
ーーーこの後...どどど、どーする!?勢いのまま、飛び出しちまったが...俺がリンチされるのかな...怖、すぎるだろ...
ーーー畜生何が"聖人"だッ...!今も俺は自分の事しか考えられねぇ癖に...ッ!