第9章 【初恋】
《李太視点》
「このっ...浮気者ぉ!」
海里の家のお部屋にお邪魔して、奴をガン詰めする。
俺の部屋の中に、彼氏の海里がいる...という甘いシチュエーションに初めてなったというのに、こうなっちまうとは...!
「ん...早速メールが届いたみたいだな...」
海里はそんな俺に構わず、スマホを見る。
「なんで彼氏の俺の目の前で!お前は!他の見ず知らずの男と!連絡先交換すんだよ!」
枕を、ぺちぺちと海里の腕に押し付けてみる。
「不満か?」
「不満だよ!!じゃなきゃこんなに怒ったりしないよ!」
「でも李太、お前だってあの長髪の彼とも連絡先交換してただろ」
「監視だよ!お前のお目付係する為!!」
こんなに訴えているのに、海里は表情一つ変えやしない。いつものすまし顔だ。
「っくっ...やっぱり海里はちょっとズレてるとこあるよな...!」
自分の犯した大罪を、海里は自覚していないらしいが、俺が傷ついた事はやっと勘づいてくれたらしい。
のそり..と身体を近づけ、ぐいっと抱きしめてくれた。
「...落ち着いてくれ...」
「か、海里....っ!」
い、いつもの、イケイケ海里サンだ。
やっぱり、ものすごく胸がドキドキしてしまう。
「どうしたんだ...何でも聞いてやるよ」