黒バス triangle SS~secret story~
第8章 運命が交わったら
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あの事故から父さんが目覚めるまでは数日だった。
でもこの数日が長かった。
父さんが目覚めたとき、俺たちは泣いて喜んだ。
そんな様子に目を向けた父さんはこう言った。
「書きたい。」
ただその一言だけ。
その後、執筆中の父さんに聞いた。
「なんで本を書いているの?」
幼い頃と同じ質問。
きっと父さんも覚えていたのだろう。優しく微笑んでいた。
「あの子のためだ。」
あの子ーそれが茶倉優だった。
父さんは優に救われた、優のおかげでもう一度書くことが出来ると言った。
俺はその時、優と直接会ったことはない。
その時はまだ眠っていたから。
でもきっと素敵な子だろうって思った。
ここまで楽しそうな父さんを見られたのだから。
「あの子が壁にぶつかった時に読んで欲しい。」
そういって完成したのが『天空華』
…父さんの遺作だった。
それから1ヶ月後、父さんはこの世を去った。
この時からだろう。
俺が男っぽくなったのは。
心のどこかで父さんの代わりをしなきゃと思っていたのかもしれない。