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隣の席の蜂楽くん【ブルーロック】

第6章 トラウマ



 U-20戦後、初めての月曜日。
 ブルーロックチームは一旦休暇を取ることになり、今日は学校に蜂楽廻が来るらしいという噂。

 U-20との試合。選手権の大会の時と違って、蜂楽はものすごく楽しそうで、生き生きしてて、かっこよくてドキドキした。
 サッカー自体も抜群に上手くなってて、素人目に見てもすごく努力したんだと思う。
 お兄ちゃんなんて感極まって試合終了と同時に号泣してたし。

 学校に着くなり、門の前では同じクラスの女の子達がきょろきょろしながら誰かを待っていた。
 横をすり抜けるように通り過ぎると、靴箱でマナに出会う。
「おっはよ。ヒメ達、門の前にいたでしょ。蜂楽くん待ってるんだって」
「へぇ。さっそくモテモテだね」
 ヒメちゃんはモデル事務所に登録してる可愛い子。まだ露出は少ないけど、インスタにもフォロワーが何万とかいるらしい。いわゆるインフルエンサー。

「柚も負けちゃいられないでしょ?」
「私はいいよ。大体もう、隣の席じゃないんだし」
 蜂楽くんが休んでいる間に席替えがあり、彼の席は今、窓際の一番後ろになっていた。


「蜂楽くん、すごかったー!」
「ブルーロックの話、教えてよー」
「今日サッカー部の練習来るよな!みんな待ってるし!」

 さすが一夜にしてスーパーヒーローだな。
 登校するなり蜂楽くんの周りから人が絶えない。他のクラスの人やサッカー部員も続々と教室にやってくる。
 以前、陰口を言っていた人達が褒めはやしているのが複雑だけど。
 でもよかった。みんなに蜂楽くんのすごさを認めてもらえた気がして嬉しい。

 人懐っこい笑顔は変わらない。だけど体つきが少したくましくなってる気がする。トレーニングも頑張ったんだろうなぁ。ブルーロックでの話を私も聞きたいけど。


 昼休み。ちゃっかり、隣の席になったヒメ達からの熱烈アプローチ。
「蜂楽くん、一緒にお弁当食べよ!」
「おれも、おれも!」
「うん。でも、購買に行きたくて」
「ヒメも一緒に行くよ!」

 教室から出ていく蜂楽達を見送りながら、これでよかった、と思いつつ一抹の寂しさ。今日は一回も話せていないな。
 こんな日に限って、いつも一緒にお弁当を食べてるマナは委員会の用事でいないし。
 柚は少し気分を変えようと思って、教室を出て屋上へ向かった。




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