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隣の席の蜂楽くん【ブルーロック】

第5章 お守り


 
 背番号8の試合用のユニフォームに着替えた蜂楽は、ロッカーを漁っていた。
 ぽいっぽいっと、洗濯に出しそびれた片方だけの靴下やタオルを床に放り出しながら、何かを探しているようだ。

 汚いな、と思いながら、後ろで見守っていた潔世一が話しかける。
「蜂楽、何か探してんの?」
「んーと、お守り!!あった!」

 ブルーロックに入る時に私物は没収されたけれど、制服のポケットに入れていたお守りはロッカーに忍ばせていた。
 修学旅行で柚からもらった大事なお守り。これがここまで連れてきてくれたのかもしれない。
 蜂楽はお守りを握りしめると、「勝てますように」と呟いた。

「そのお守り、大事な物?」
「うん。友達、いや好きな子からもらったんだ」
「へぇー、どんな子?」
 なんだか意外だ。サッカーのことしか考えてなさそうなのに、と潔は思う。そもそもコイツに恋愛のアレコレなんて絶対わかってないだろ。

「勉強できて、ちょっとうるさいけど、笑うと可愛い子」
「へー」
 ちょっとだけ悔しい。だってお前もモテない方だろ。俺と同じで去年のバレンタインチョコ、0個だったって言ってたじゃん。

「でも糸師冴のファンかも。絶対U-20ぶっ潰さなきゃねぇ、潔」
「そうだな」

 今日の試合に勝ったら、きっと振り向いてくれるはず。蜂楽はそう信じて疑わなかった。


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