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隣の席の蜂楽くん【ブルーロック】

第5章 お守り


 
 風邪をひいていた柚は、週明けから学校に行けるようになった。
 蜂楽は聞いた通り休んでいて、隣の席は空っぽ。
 
 彼女になってってどういうこと?
 蜂楽くんが私のことを好き??そんなの信じられない。
 蜂楽くんが帰ってきたら、私はどう返事したらいいんだろう。
 そもそも私の蜂楽くんに対する気持ちは何?
 友達?それとも………。

「ねぇー、蜂楽くんJFUの強化選手に選ばれたってほんと?」
「はわっ!?」
 もやもや考え事していたら、目の前にマナがいた。
「なんか噂になってるし。帰ってきたらモテモテかもね、彼」

 そうだ。帰ってきたら、以前とは状況が全然違うかもしれない。
 いろんな子が蜂楽くんに言い寄ったりして。
(それはそれで複雑………)


 月日が経つのは早い。数週間が経ち、蜂楽のことが噂にも上らなくなってきた頃。柚は担任に頼まれて、蜂楽の家に向かっていた。
 やっぱり担任は私を蜂楽くん係にしている。
 でもちょっとだけ、彼の近況は気になっていた。元気に合宿してるか、いつ頃帰ってくるのか、とか。お母さんに聞いたらわかるかな。

 欠席中のお知らせや授業のプリントを預かって、担任から教えてもらった住所に行き、インターホンを鳴らす。
 お留守かな?と思うぐらいしばらく時間が経って、「はい?」と女の人の声で返事があった。

「蜂楽くんのクラスメイトの小鳥遊と言います。お休み中のプリントを持ってきました」
「ありがとう!ちょっと待っててくださいね!」

 バタバタ音がして、蜂楽の母、優が出てきた。作業着姿で服や顔があちこち絵の具で汚れているが、はつらつとした若くて綺麗な人だった。ちょっと蜂楽くんに似てるかも。目元とか。


「お待たせしてごめんなさいね、仕事中で。
あっ!もしかして廻にマフラー貸してくれたお友達?」
 柚が首に巻いている紺色のマフラーを見て、優は破顔した。
「はい。あの、蜂楽くんは元気ですか?」
「廻ねぇ、合宿中はスマホ見れないのか、連絡しても全然既読にならないのよ。頑張ってるといいんだけど」

 柚が差し出した封筒を受け取りながら、優は苦笑する。
 明るくて優しそうなお母さん。いいなぁ、蜂楽くん。

 

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