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隣の席の蜂楽くん【ブルーロック】

第1章 隣の席の蜂楽くん



 蜂楽廻は隣の席の男子生徒である。
 彼は6時間目の途中から夢の中。ホームルームが終わり、他の生徒が教室を出ていく中、一人取り残されていた。

「蜂楽くん、起きて。もう放課後だよ」
「ん……?あ、委員長おっはよー」
 委員長こと、学級委員の小鳥遊 柚が肩をとんとん叩くと、蜂楽は顔を上げふわぁとあくびをして、思いっきり両手を上に伸ばした。

「来週の球技大会の希望用紙出してないの、蜂楽くんだけなんだけど」
「球技大会?」
 蜂楽はカバンをがさがさ漁る。中からくしゃくしゃになった紙が出てきた。
「はい!委員長ごめんね!」
 クリクリしたハニーレモンの瞳。ぱっつん前髪のきゅるんとした笑顔に強く注意できない。

「ちゃんと期限守ってくれないと…」
「あ、今何時?おれ部活行かないと!ばいばーい!」
 ぴゅーと風のように、蜂楽は走って行った。
 柚はため息混じりにくしゃくしゃになった紙を開く。
 第一希望サッカー、第二希望サッカー、第三希望サッカー。
「何これ?球技大会サッカーないのに…」

 3階の教室からは校庭でサッカー部が練習しているのが見えた。ちょうど蜂楽が走って合流するところで、柚はもう一度ため息を吐いた。

 翌日の放課後。
「蜂楽くん、球技大会はサッカーないから、ソフトボールか卓球に入ってもらいたいんだけど」
「えー、何でサッカーないの?楽しいのに」
 蜂楽は不服そうに口を尖らせる。
 全く決まりそうにないので、柚が一方的に「ソフトボールね」と決めてやった。

「それよりさー、委員長、いつもいい香りがするけど、今日はいつもより甘い香りがするね♪」
 赤面するようなことを無邪気な顔で言われたけれど、甘い香りには心当たりがあった。
「えっと、どら焼き食べる?」
「わーい!ありがとう!!」

 柚の家は和菓子屋。今日は茶道部の後に皆で食べようとどら焼きを持ってきていた。まあいいか、と蜂楽に手渡す。
「このどら焼き、うまっ!じゃ、委員長またね!」
 蜂楽は甘い物が大好き。どら焼きをペロリと一瞬で平らげると、また部活へと元気に廊下を走り去っていった。

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