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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第47章 元カノ〜邂逅〜



(あっこ、さ...仁井村んちがやっとる店やったんや)

何や行きづらなった、と、いい雰囲気にマコトとまた行こうか、と思っていた気持ちが萎んでいく。

(味、悪なかったんになぁ)

一応は過去に付き合った人がいる喫茶店に通う気にはならない。


「ゆう?」

(紅茶の種類結構あってよかってんけどな)

惜しい、と歩いていたら、手を引かれて歩みを止める。

「どないしたん?」
立ち止まる真珠を振り返ると、じっ、と見てくる顔を見つめ返す。

「考え事?」
「え?いや、大したことあらへんよ」
知らなくていい、余計な不安を煽るかもしれない。と黙る。

「問題です」
「え?」

突然?と首を傾げる。

「ある男性が『なんでもないという時はなにかある』と言いました」
「え?あ、うん...?」
クイズなんか?と考える。
「その人がなにやら神妙な顔をしていたので『考え事?』と聞きました」
「あ、ん?はい」
「『大してことないよ』という答えが返ってきました」
「...うん?」

身に覚えがあるクイズ。
さて、と真珠は相変わらず目を見つめてくる。

「その彼に質問した恋人は、どうするべきでしょうか?
 1、そう、と気にしない素振りでその話を終わらせる
 2、『気になるから教えて?』とダメ元食い下がってみる
 3、『なにか隠してるでしょう!?』と問い詰める
 なお、2と3に心当たりはありません。
 はい、正解は?」
「なんや、それ」

それ、俺が答えるんか?と苦笑いの侑士。

「ん、ほな正解教えたるわ」
「お願いします」
どこか不安そうに待つ真珠。

「強いて言えば、2、やろな」
小さく開いた真珠の唇に人さし指を当てる。

「2、の(1)それに気付いたって、聞かれる前にちゃんと男から説明したる、が正解やな」
「...聞いていいの?」
「マコト、俺が前に一応付き合うとった子おるん、知っとるやろ?」
うん、と頷いた真珠の動きに合わせて、指先の柔らかい唇が動く。

「さっきのサ店の店員はん」
「...若い、お姉さんだったね」
「あの子やってん」
「えっ!?」
驚く真珠に、俺も知らんかってん、と手を繋ぐ。

「親がやっとるんやって。
 店の雰囲気はマコトも好きそうやったけど、2回目はないなあ、思うとってん」
「そう、だったんだ」

明らかに戸惑っている真珠の手を引き、店から離れた。

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