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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第28章 水面下の企み


それだけでいい、と言った侑士の腕の中。
す、と頬に触れる指先に顔を上げると、風呂上がりから眼鏡を掛けていない瞳とぶつかる。

いつも青が混ざって見える瞳が少し、緑色に見えて、(光のせいか)と照明を見上げる。

「どないしたん?」
頬を撫でる手を、なんでもないよ、と握る。

「光が違うから、瞳の色がまた違って見えたの」
「目ん色?」
「前に、ゆうの瞳にブルーが見える時があるって言ったでしょう?」
そうやったっけ?と言う侑士の頬を両手で包む。
「今は、グリーンが見える」
「そないに変わるか?」
よう見とるね、と、手のひらに頬を擦り寄せて目を閉じた。

「あんま、見んとって」
頬の手を包むように自身の手を添える。
「恥ずかしなるから」
「照れ屋さんだもんね」

ふふ、と笑った真珠が隣に座った。

「何がありましたか」

指先で触れた手が、手の甲を撫でる。

「オトンに騙された」
むす、としている顔に、ありゃ、と返す。

「留学生来る、言うたやろ」
「ドイツからの女の子だっけ?」
「仕組まれとった」
「と、言いますと?」
抱きついてきた侑士の背中に手を添える。

「留学生の父親が、ギルベルト・ロールシャッハ言う人で、今、オトンがおるドイツの医学研究所のお偉いさんやった」
「...お?」
「そのまた父親がイヴァン・ロールシャッハ言う人で、こん人は、医学界では名の知れた人やねん」

ちら、と目線を寄越した侑士に、それは、と考える。

「瑛士パパの、上司の、娘様が、くる?」
「俺ん結婚相手にするつもりでな」
「あ、やっぱり、そういう」

んー、と考え、侑士の顔を覗き込む真珠。

「ゆう、お医者さんになって、その子と結婚するの?」

するわけ無いやろ、と抱き寄せられて、膝の上に座る。

「医者になるつもりはある。
 せやけど、結婚する気は無いわ。
 俺は、なんも聞かされんと、跡部に言われて気ぃ付いて。
 オトンに聞いたら『気が合えば』やの言いよったから」
「ゆうに、事前に何の話も無く、その子を?」
「せや。
 けど、オトン、マコトん事は知っとったようやから、オカンに聞いとったんやろ。
 オカンも、今回の事、知っとって黙っとったんやわ」

オトンに言うとってくれたらええんに、と侑士はため息をついた。

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