第5章 Z=4 ガスマスク+シールド>H2SO4
「シーラちゃん、おひさぁ。その様子だと、元気、じゃないよねぇ。
ごめんなんだけど、治療、お願いできないかな。もうつらくてさぁ。」
シーラは虚ろな瞳でゲンの方をみる。
そして、ゲンに光を当てるように手をかざし、そっと小さい声で呪文を唱えると、あたたかい光がゲンを包む。
ゲンはそこから、シーラの耳元まで近づきそっと囁く。
「ルーチェちゃんは生きていた。届け物も、ちゃんと渡せた。
あとは、シーラちゃん次第、だよ。」
その言葉に動揺したのかゲンを包んでいた光は突如消える。
その瞳に僅かな光が宿るが、視線は変わらず虚をみつめる。
だが、シーラも小声で聞き返した。
「ルゥルゥが生きてたのですね。」
「うん。生きてたよ。いづれこの帝国に来ることになると思う。いまは、シーラちゃんの様子が分からないから動けないでいる。
だから、一言でいいから教えて欲しいのよ。シーラちゃんの状況。」
「貴方に話して何が出来る、と?」
「俺は、もう一度、ルーチェちゃんに会いに行く。その時にシーラちゃんのことが伝えることが出来たらルーチェちゃんも助けれるんじゃないんかな?」
ゲンの言葉にシーラは涙を流す。
よほど娘のことを気にかけていたのだろう。自分もこんな目にあって大変だと言うのに、と呆れたような、同情のような視線をおくる。
その視線に気づいたのか、はっと、我に返り、涙を手で拭う。
そして、ゲンに顔を近づけるように、といい、偽の治癒魔導を発動させた
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