第4章 Z=3 科学+魔導=マンパワー?
「さて、ルーチェちゃんの方はどうかな?」
「その前に、母様は無事なの!?」
「あぁ。それね。シーラちゃんは生きてるよ。夜になると元気に働いていた。でも、昼間は、夜の様子と打って変わって、静かだったかな。」
ルーチェは記憶の中を思い浮かべる。
ふたつの仕事をこなしてるシーラだが、昼夜逆転することなく、徹夜しても翌日の夜までは平然と起きていた。
むしろ、ルーチェが医大の時に徹夜続きだったときに、「体は資本よ」と怒られた記憶がある。
(そんな母が昼夜逆転するなんて…。母様に何があったの…。)
「ゲン、私についてきてほしい?」
「ハズレ。救いたい、とはちょっと違うんだけど、見てらんないのよシーラちゃん。危なっかしいというか、なにか妙なんだよねぇ。司ちゃんの言うことは聞くけどなにかを企んでいる感じなのよ。
シーラちゃんの企みを探るから止めることできる?」
ルーチェは母を止める、ときいて最悪のケースを想定した。
ーー母との戦いはやはり怖い。
思わず母から託された”鍵”を握りこむ。”鍵”からはほんの少し、ぬくもりを感じる。
その感覚に安心したのか、表情を少しだけやわらげた。
「わかった。母を止める。」
ルーチェの震えは止まり、気づけば目線はゲンに向いていた。
ゲンは嬉しそうな表情をうかべる。
その夜、月明かりが3人を照らし、その場での秘密の同盟が結ばれた。
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